雪江代数 第2版

雪江代数第2版(全3巻)との悪戦苦闘を記録する.

第1巻 群論入門

正直,甘く見ていたと言わざるをえない.

第1章 集合論

9頁,問題の記述について,物理で培った感覚が暴走する問題に見舞われる.何らかの集合が何らかの操作を経て\( \{ -1, 0, 1 \} \)にマッピングされるならば,マップされる先は当然何らかの量子状態であると察知しなければならなかった世界で生きていたので,数学的操作が純粋に数学的に処理される無機質さに耐えられず,完全に混乱してしまった.

11頁,well-defined.噂には聞いていたが,正式な用語としては初めて遭遇した.今のところ,きちんと理解していると思う.

19頁,冪集合の定義.「集合\( A \)から\( \{ 0, 1 \} \)への写像\( \phi \)があれば」とあるが,ここで扱う"集合"が公理集合論におけるものではない,より大きな"ものの集まり"であるならば,そのような写像はないこともあるだろう.

19-21頁,章末演習.証明問題に回答がない割に,回答がないものとは思えない難易度のものが多いのはどういうことなのか.存在命題の扱い方と,写像が一般には可換ではないことに大いに苦しめられた.

第2章 群の基本

23頁,自明な群の定義.円城塔「\( \varnothing \)」で感じた自明な自己言及構造と同じ香りがする.

25頁,群の例題.ヴァイル代数を思い出す.

26頁,置換群の定義.量子力学で慣れ親しんだもの.

34頁,シンプレクティック群の定義.解析力学で見た.同,四元数群.パウリ行列を思い出す.

第3章 群を学ぶ理由

第3章は読み物なのでこちらから.前半は4次方程式の解の公式であるカルダノの公式が得られるまでの史談.後半が群を学ぶ理由の本番なのだが,ガロア群周りの話を除いて,群が何に必要なのかということは嫌というほど知っているので,再々確認という感じ.とはいえ,言葉の端々から,遠くはあるがこの道がムーンシャインへと続く道であることが確信されて楽しい.


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