関東大震災と東京帝国大学附属図書館 : 不要論から見る附属図書館の大学内における位置付け

書誌情報


概要

関東大震災で壊滅的な被害を受けた東京帝国大学附属図書館の復興に関する議論を資料に基づいて精査し、附属図書館が大学内で軽視されていたことを確認する。

コメント

関東大震災における東京帝国大学附属図書館の被災は、西洋諸国からはローマ帝国によるアレキサンドリア図書館の破壊、ドイツ帝国によるルーヴァン大学図書館の破壊に次ぐ悲劇であるとみられていたという。これに深く同情した西洋諸国からは資金援助や書籍の寄付の申し出があったが、当の東京帝大の教官陣から強固な反対があったというのは驚いた。当時の世相から、海外の手を借りた大学運営というのを許せなかったというのもあるだろうが、そもそも研究の基盤である学術情報源のない大学こそ無意味と思ってしまうが、それほど図書館の存在が軽視されていたというのが最も大きな要因だろう。結局寄付も断った挙句、国も図書館の復興には一銭も出していないのが実に不可解というしかないが、実用性をアピール出来ない機関はこうならざるを得ないのかもしれない。


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